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書は心に静寂を 画は私を自由へと


お名前: 麻貴 ローマ字 MAKI
お仕事:芸術家(主に水墨画)
出身地:東京都
HP:http://artgypsy.wix.com/makijp
趣味:芸術の枠は全てアイディアに影響しているので、どこまで趣味といったらよいかわかりません。芸術に関係のない趣味といったら今は特にないですが、5年前まではダンス。現在所属中の大学が総合芸大なので、各種舞台を楽しめる機会が少なくなく、ショー好きの私にとってはすごく嬉しい環境です。これからの在学中数年間は、それを趣味といえるくらい頻繁にショーに行けたら最高のリフレッシュですね。(といっても、舞台も芸術で、自分にインスピレーションをもたらしてくれることがあるので、結局は芸術が好きだからその道にいて、サイドも芸術関係なんですね)料理は大好きで各国料理を作ります。パキスタンやインドの友人にレシピを教わってからは、スパイスを自分で調合して本格的にやっています。世界中に友人ができたので、料理は本場仕込みになって、日本にいた一年間もインド人がやっているローカル商店に買い出しに行っていました。笑
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書は心に静寂を  画は私を自由へと

①編集部:麻貴さんのご紹介をお願いいたします。
 2013年より杭州の中国美術学院で書画を学び、2017年に同美大の中国画学部修士課程を卒業しました。杭州では牛道など和食屋さんの看板書き等も何店舗かさせていただいたり、日本人に趣味の水墨画教室を開催していました。
スロバキアのブラチスラバ美術大学にて2年連続、短期水墨画講座の講師及び同講座の展覧会開催。
 2018年9月より南京在住、南京芸術学院にて中国画博士課程を始めたところです。修士博士と水墨画を主として学び、研究対象として中国に滞在していますが、修士を終えて表現への思いや人生の葛藤がうずまき、現在は表現手法を特定せずに可能性を縛ることなく芸術制作をしようと思っています。教授とご縁があり花鳥画専攻ですが、自然の息吹にひとり対峙する時間はとても幸せで、生き物や自然が好きな私にぴったりだと感じています。
②編集部:美術の世界に入った経緯を教えてください。
 物心つく前から祖父と絵を描いてばかりいて、書道も中学まで習っていたので、芸術関係で一生やっていきたいと思っていました。大学卒業後は映像編集や合成の仕事をしていましたが、ハードワークで体を壊したり紆余曲折あって、現在は学生時代から恋焦がれていた水墨画を追求する道を、15年以上になる長年の想いを越えて進んでいます。明け方までパソコン見っぱなしの仕事で心身ともに疲弊してゆく自分の変化が嫌だったので、もうデジタルには戻りません。心〜腕〜手〜筆そして筆先から作品へと精神が滲み入る感じは、静寂の時をもたらしてくれます。中国では書画は瞑想と同じと言われており、修行ではありながら心地良い空気の中取り組めることに、ありがたいなと思います。
③編集部: 美術の世界で一般の方が知りうる事がない常識などございますか?  美術と言っても日本の美術界と、私がいる中国、そして外国人アーティスト仲間、と枠がかなり違うので、ちょっと答えに困るのですが。。。
 私は全ての職業や生き方がみんな違って、常識も価値観もみんな違うだけだと思います。
 留学していると、多様な方と美術や人生及びこの世界について話し合う事が多く、それは私の生きがいの一つでもありますが、常識なんて存在せずあらゆる思考の存在を認め建設的にディスカスできるというのが、日本人社会にはありえない快適な対話だと私は感じています。そういったフリーマインドは、日本社会の規範の中で生きる方々には理解することが難しいところではないでしょうか。その反面、ステレオタイプから遠く離れた孤独な星のような私は、その母国社会に対峙してどう歩み寄って生きていくのかという疑問もあります。
 水墨画に関してはみなさん未知の世界だと思いますが、日本の美大には水墨画と書道の専攻がありません。というわけで、その道でまともな芸術家が非常に育ちにくい環境であり、まず習ってみたいと思っても、私は東京で10年探しても通いたい教室が見つからない状況でした。「中国の美大に留学する」という方法に行き着くことは時間とご縁と想いの果てですが、現在の日本で水墨画は生きた伝統ではありません。芸術に派生した社会問題の一つなのですが、気付く人も気にかける人もあまりおらず、そんなわけで、同等の立場の同志もおらず、桃太郎のように仲間が欲しいなと思いますが、共有できる人がいないので多くのことはみなさんが知らないということになってしまいます。社会問題として一般に周知され、協力者が現れてくれたら嬉しいのですが、まだしばらく一人で頑張ります。
④編集部:中国の人たちや文化と触れ合う中で中国人の長所はどのようなところと感じますか?
 ざっくばらんであまり気にしない、どんどん先へ進むところです。中国生活のはじめ数年は「没事」と言って全てのことを済ましてしまうことに腹が立つことが多かったのですが、今となっては日本人は細かく気にしすぎて先にも後にも時間の無駄が多いとバカバカしくなりました。日本人だったらメールで5−10行書くところを中国人なら微信1行で済まします。そっけなく寂しくも思いましたが、日本人もそういうところに使う時間を省けば良いのではと思います。。長所短所は見方で反転しますが、中国人の「相手に気を使わせないように事前告知をあまりしない、その場で動く」という気の使い方も、準備に右往左往しなくて良く、短時間で一気に進むので、悪くないと思います。
 しかしながら、中国画の歴史を紐解いて研究していると、中国人の方が日本人より思考深いのではと思う面もあります。
 例えば日本画では材料やその状態、知識等にこだわりますが、中国画ではイチに筆使いです。作品が汚れてしまったり、墨の質が悪いとか、筆をきちんと洗わないとか、彼らはあまり気にしません。実際、筆法が骨で間違いなく、腕を磨くことに集中できており、その方向性は作画を追求し可能性を伸ばすアーティストのあり方だと思います。
多様性の長所短所についてはいくらでも話せそうです。笑
⑤編集部:今後の将来の目標、夢は何でしょうか? 
 日本での水墨画が衰退しきっておりあらゆる面で底をついているので、再生のためのトップ上げにライフワークとして貢献したいと思っています。1000年を越えて日本に息づく伝統と呼べる絵画ですが、現在芸術家と呼べる域に達する日本人水墨画家はほぼ存在しません。歴史的に日本人の素晴らしい水墨画作品が存在してきたので、現状を大変残念に思います。
 私はまず博士卒業まで研究に専念し、その頃には自分のスタイルが見えてきて、具体的な活動を始めていけると良いなと思います。ただ現在、日本の水墨画にまつわる諸々は腐敗しているのでそこには関わらず、個人での活動をピックアップ&バックアップしてくれる繋がりができ、水墨画という芸術が健全な形で再度蕾が芽吹き花開いてゆくことに貢献できたらと思っています。
 個人的には、表現し続けていくことで生きていけたら幸せです。あと、自分が子供の頃に学校の美術教育にしっくりこなかったり、習い事のお絵かき教室もイマイチつまらなかったので、芸術が好きな子供たちの可能性が自由に伸びていけるようなクラスを開講したいなと思います。また、多様性に出逢い身近になることで世の中が幸せに近づくと思うので、私のスタジオを開くときは、そんな環境にしたいなという思いもあります。(あらゆる人種に出逢い、友となり、多くの問題や解決策が見えて、未来の平和について考えたりします。)
 とはいえ大筋としては、水墨画を趣味の域を越えて骨からじっくり腰を据えて学んでゆきたい、という日本人に私が中国で学んだことや自分で研究していることを伝えていきたいので、そんな人たちと出逢うにはどうしたら良いのだろう、というのが一つ大きなところです。底をついている分、未知の可能性はたくさん思い浮かぶので、実現してゆくためのご縁に繋がることを楽しみにしながら、個人としてはコツコツと腕磨きを頑張ります。
⑥編集部:最後に読者の皆さんに一言お願いいたします。
 読んでくださりありがとうございました。杭州は南宋から水墨画が根付く文化の都です、風情豊かで展覧会もたくさんあるので、水墨画と風景や四季を照らし合わせて情緒を感じられたら貴重な杭州生活の豊かさが再度見えてくるかもしれません。水墨画の単発講座などご希望の方がいらっしゃれば、人数次第で催行できるのでお問い合わせくださいね。
 
編集部:麻貴さんありがとうございました!芸術家ということでビジネスマンとは違う世界でご活躍されており、「生きる」という幸せの形は人それぞれ異なりそれを理解しながら自分の道を進まれている中国でも貴重な日本人芸術家です。プロフィール写真の水墨画は修士課程の卒業制作とのこと将来的には著名な芸術家になる可能性大ですね!杭州ナビも応援してます!杭州の企業、文化的イベントにも御協力して頂けるそうですので麻貴さんのH.Pか杭州ナビにご連絡頂ければと思います。^^

修士課程卒業式典(左は担当教官)

スロバキアの国立美大にて水墨画短期講座(3年前)

南京芸大記念展(北京・中国国家博物館)留学生団で参観

焼肉店御牛道外観

焼肉店御牛道看板制作の様子



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